取締役会議事録記載事項について弁護士が解説
タイトル..
取締役会議事録の内容
Q.取締役会議事録にはどのような内容を記載すべきでしょうか?
A.通常の取締役会の議事録は、以下の事項を記載します(会社法施行規則101条3項)。
① 取締役会が開催された日時及び場所
(当該場所に存しない取締役、執行役、会計参与、監査役、会計監査人又は株主が取締役会に出席をした場合における当該出席の方法を含む。)
② 特別取締役会(会社法373条2項)であるときは、その旨
③ 取締役会が次に掲げるいずれかのものに該当するときは、その旨
イ 定款または取締役会で定めた取締役以外の取締役の請求を受けて招集されたもの(会社法366条2項)
ロ 定款または取締役会で定めた取締役以外の取締役が会社法366条3項の規定により招集したもの
ハ 取締役に会社の目的外の行為や法令定款違反の行為(またはそのおそれ)があった場合に、株主の請求を受けて招集されたもの(会社法367条1項)
ニ 取締役に会社の目的外の行為や法令定款違反の行為(またはそのおそれ)があった場合に、会社法367条3項の規定により株主が招集したもの
ホ 取締役が不正行為をし、もしくはその不正行為のおそれがあると監査役が認めたとき、または法令定款違反もしくは著しく不当な事実があると監査役が認めたときに、監査役の請求を受けて招集されたもの(会社法383条2項)
ヘ 取締役が不正行為をし、もしくはその不正行為のおそれがあると監査役が認めたとき、または法令定款違反もしくは著しく不当な事実があると監査役が認めたときに、会社法383条3項の規定により監査役が招集したもの
ト (委員会設置会社の場合)会社法417条1項の規定により委員の中から選定された者が招集したもの
チ (委員会設置会社の場合)会社法417条2項前段の規定による執行役の請求を受けて招集されたもの
リ (委員会設置会社の場合)会社法417条2項後段の規定により執行役が招集したもの
④ 取締役会の議事の経過の要領及びその結果
⑤ 決議を要する事項について特別の利害関係を有する取締役があるときは、当該取締役の氏名
⑥ 次に掲げる意見又は発言があるときは、その意見又は発言の内容の概要
イ 取締役が競業取引・利益相反取引を行った場合に行う、当該取引についての重要事実の報告(会社法365条2項、419条2項)
ロ 取締役に会社の目的外の行為や法令定款違反の行為(またはそのおそれ)があった場合に、取締役会の招集請求し、またはこれを招集した株主が当該取締役会で述べた意見(会社法367条4項)
ハ 会計参与が計算書類等の承認を行う取締役会に出席して述べた意見(会社法376条1項)
ニ 監査役が、取締役が不正の行為をし、若しくは当該行為をするおそれがあると認めるとき、又は法令若しくは定款に違反する事実若しくは著しく不当な事実があると認めるときに、取締役会に行う報告(会社法382条)
ホ 監査役が取締役会に出席して述べた意見(会社法383条1項)
ヘ 監査等委員が、取締役が不正の行為をし、若しくは当該行為をするおそれがあると認めるとき、又は法令若しくは定款に違反する事実若しくは著しく不当な事実があると認めるときに取締役会に行う報告(会社法399条の4)
ト (委員会設置会社の場合)監査委員が執行役又は取締役が不正の行為をし、若しくは当該行為をするおそれがあると認めるとき、又は法令若しくは定款に違反する事実若しくは著しく不当な事実があると認めるときに取締役会に行う報告(会社法406条)
チ 補償契約に基づく補償をした取締役及び当該補償を受けた取締役が、当該補償についての重要な事実について取締役会に行う報告(会社法430条の2・4項)
⑦ 取締役会に出席した執行役、会計参与、会計監査人又は株主の氏名又は名称
⑧ 取締役会の議長が存するときは、議長の氏名
また、通常の取締役会ではなく、書面による取締役会決議(会社法370条)がなされた場合の取締役会の議事録は、以下の事項を記載します(会社法施行規則101条4項)。
① 取締役会の決議があったものとみなされた事項の内容
② ①の事項の提案をした取締役の氏名
③ 取締役会の決議があったものとみなされた日
④ 議事録の作成に係る職務を行った取締役の氏名
また、報告事項について、取締役の全員に報告したことにより取締役会への報告を要しないものとされた場合(会社法372条1項、3項)の取締役会議事録は、以下の事項を記載します(会社法施行規則101条4項)。
① 取締役会への報告を要しないものとされた事項の内容
② 取締役会への報告を要しないものとされた日
③ 議事録の作成に係る職務を行った取締役の氏名
いずれの取締役会議事録についても、書面をもって作成されているときは、出席した取締役および監査役がこれに署名し、または記名押印する必要があります(会社法369条3項)。
また、取締役会議事録が電磁的記録をもって作成されているときは、署名または記名押印に代わる措置をとる必要があります(会社法369条4項)。
取締役会議事録は各役員が自らの職務を適切に果たしていることの証明文書にもなる重要なものです。
湊総合法律事務所では、取締役会議事録が適切に作成されているかどうかのリーガルチェックも行っておりますので、お気軽にご相談ください。
お困りの方は湊総合法律事務所までご相談ください。
<顧問弁護士について> 顧問弁護士が継続的に企業経営に関する法的なサポートをさせていただくことで、より効果的に法的トラブルを防止し、迅速かつ的確な問題解決を図ることが可能となります。 そのために私達の事務所では法律顧問契約を締結して対応させていただくことをお薦めしております。担当弁護士が貴社の状況を把握して、直接お会いして、あるいは電話、メール、Zoomなどの手段を適切に利用して、相談に臨機応変に対応させていただきます。 こうすることにより問題発生前に法的トラブルを防止し、 企業価値を高めることを可能としています。 法律顧問料はかかりますが、結果としてコストの削減にも繋がっていきます。 |
取締役のトラブルでお困りの方のために特設ページをご用意しております
【ESG・SDGs関連書籍のご案内】
「成功へと導く ヒューマンライツ経営~人権リスク・マネジメントで勝ち抜く~」
(ビジネスと人権に関する行動計画 2020年10月政府策定に対応)
第1章:第5次産業革命の生存戦略
第2章:「ビジネスと人権に関する指導原則」が企業の成長を加速する
第3章:人権問題・社会課題を解決する企業が飛躍的に成長する
第4章:「ビジネスと人権」に関する行動計画のココを経営に取り込む
第5章:企業行動は国別行動計画からのステップアップが必要 他
取締役・取締役会の関連ページ
- 取締役に関する紛争対応サービスについて
- 取締役会に関する会社法上の規定について弁護士が基礎知識から解説
- 中小企業における株主総会・取締役会の実態と必要性について
- 取締役会の招集
- 取締役会の招集手続
- 取締役会の招集通知
- 取締役会での決議案件
- 取締役会の決議方法
- このような決議事項に注意しよう(取締役会)
- 取締役会決議についての過去の不備をどうフォローするか
- 特別利害関係取締役とは
- 取締役会・株主総会の議事録とは?記載事項・リスクについて弁護士が解説
- 取締役が負う責任・賠償リスクの軽減方法とD&O保険の活用~会社法に詳しい弁護士が解説
- 取締役の経営上の判断によって会社に損害が生じた場合
- 経営判断の原則が適用される場合とは?
- 取締役(役員)の解任を行う際の具体的な手続き・登記申請の方法について弁護士が解説
- Q 合わない(反対派)の取締役を辞めさせたい。
- Q 突然取締役を解任された。どう対応すればよいか?
- 取締役の報酬の減額
- Q 退任した取締役から退職金の支払いを請求された。どうすればよいか?
- 取締役に関する紛争(取締役間の紛争、会社と取締役との間の紛争、株主と取締役との間の紛争等)
- 【Q&A解説】会社に損害を与えた取締役の責任について損害賠償請求を提起が可能な場合とは?
- 【解決事例】取締役に関する法律相談と当事務所の解決事例
- 【解決事例】退任取締役(少数株主)との紛争を裁判上の和解により解決した事例
- 【解決事例】取締役の違法行為差止仮処分を申し立て、同手続中で和解が成立した事例
- 【解決事例】退任取締役の未払役員報酬全額の支払いを認める判決を獲得した事例
- 【解決事例】子会社から対象会社の株式の譲渡を受け持株比率を変更することで取締役の退任を実現した事例
- 取締役会議事録記載事項について弁護士が解説
- 定款に規定することにより安定した経営を行う方法
- 譲渡制限株式について譲渡承認請求を受けた。どう対応すればよいか?