支払いが滞ってきた場合

支払いが滞ってきた場合

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支払いが滞ってきた場合

Q.取引先の業績が悪化し、売掛金の支払いが遅れてきています。
売掛金の保全措置としてどのようなことをすればよいのでしょうか?

A.長年取引をしていると、取引先の中には売掛金の支払いができなくなるような会社も現れます。そのような場合であっても、すぐに取引を停止することは困難であると考えられるため、支払条件変更の合意をして契約書に確実に残すとともに、できる限り人的・物的担保を取っておく必要があります。

 

支払条件変更の合意

売掛金の支払いが滞った場合には、滞った金額を直ちに一括で弁済することは期待できないことから、いつからいつまでの間に、月額いくらなら弁済できるのかについて十分に協議して、新たな支払条件(弁済期間や分割金の支払方法等)を定めた債務弁済契約書の形にして締結し、これに基づいて確実に履行させることが必要です。

新たな支払条件に基づく支払いの確実性を担保するため、支払条件を変更する協議の際には、過去数期分の確定申告書その他の会計資料の提出を受け、場合によっては当該会社の会計士や税理士の立ち会いも求めて、支払いが滞るようになった原因、事業の継続性及び支払いの確実性について十分に説明させる必要があります。

取引先から合理的理由のある説明を受けて、納得ができた場合には、債務弁済契約書の作成に進みますが、この場合には、必ず、強制執行認諾文言を付した公正証書の形で契約を締結することが重要です。

これにより、債務弁済契約に定める支払いを怠った場合には直ちに強制執行することが可能となるため、債務者に対して確実に支払わせるという効力が期待できることになります。

 

担保の設定・連帯保証契約

本来の契約に反して支払いが遅れているということは、資金繰り・キャッシュフローに問題が生じていることを意味しますので、支払条件の変更合意を行う際に、新たに担保を要求することは当然です。

取引先の会社名義の不動産がある場合には、抵当権の設定を検討します。もっとも、会社名の不動産に既に先順位の抵当権が設定されている場合には、担保としての余剰があるかどうかについて注意する必要があります。
取引先の会社名義の不動産がない、または、担保余力がないという場合には、代表取締役個人または親族名義の不動産に抵当権を設定するよう交渉することも考えられます(物上保証)。

また、物的担保が取れない場合には、代表取締役との間で連帯保証契約を締結することも検討します。ただし、売掛金の支払いを滞る状態の場合、代表取締役は既に金融機関との間で保証契約を締結して会社債務の保証人になっていることが多く、回収の実効性に乏しいということもあり得ます。そのような場合には、専務取締役等、代表取締役以外の取締役との間で連帯保証契約を締結できるようねばり強く交渉すべきといえます。

なお、手形を振り出している会社の場合には、売掛金の支払いの担保として、手形の振り出しを求めておくことも必要です。この場合には、債務者に対して支払停止処分を回避すべきという動機を与えて債権回収を図るため、2枚以上の手形の振出しを求めることが有用です。
 
 
 

 

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