支払が停止した場合
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支払が停止した場合
「売掛債権を譲渡するから、それで勘弁してくれないか」と言われ、それ以外には交渉にも応じてくれません。
このような場合どのような手段によって回収すれば良いでしょうか?
1.内容証明郵便による請求
内容証明郵便により通知書を送付して請求を行います。内容証明郵便を用いることで、文書の内容や差出日が公的に証明されるため、後日、訴訟となった場合、相手方が請求を受けていないなどと言い訳をすることができなくなります。また、口頭や普通郵便で請求する場合よりも、相手方に対して強い請求意思が伝わり、相手方が請求に応じる可能性もあります。
内容証明郵便の詳細に関しては【こちら】をご確認ください。
2.代物弁済の交渉
代物弁済とは本来の債務を履行する代わりに別のもので債務を弁済したことにする契約のことです。債権者に取引先の有する商品等を転売する能力がある場合などは、取引先の商品を、本来の債務の「代物」として弁済を受けて債権の満足を図ることが考えられます。
ただし、本来の債権額より何倍も実質価値がある商品等で代物弁済を受けた場合には、暴利行為として公序良俗に反して無効とされる場合がありますので、注意する必要があります。
代物弁済としてよく行われるのが、債務者が第三者に対して有する債権の譲渡を受ける場合です。代物弁済として債権譲渡された第三者に対する債権の回収に失敗し、ほとんどの弁済を受けられなかったとしても、代物弁済により本来の債権はすでに消滅してしまっているため、差額の請求ができないことに注意が必要です。このようなことを防ぐためにも、代物の額が本来の債権より少ない場合には債権の一部のみを消滅させるといった文言を契約書に盛り込むことなどの工夫が必要となります。
代物弁済の詳細に関しては【こちら】をご確認ください
3.裁判所の手続き
⑴ 民事調停
調停とは、裁判所において、裁判官、民間人の調停委員、当事者が和解に向けて話し合う手続です。
当事者間では話し合いがまとまらなくとも、第三者である裁判所を介在させることで和解が成立することもあります。裁判所にて行われるものですが、話し合いによる解決を模索する手続ですので、訴訟よりも精神的・手続的に負担が軽くなります。また、当事者が互いに譲歩しながら合意に至るため、解決内容も、互いの実情に沿ったものとなり、債務者の任意による履行が期待できるというメリットがあります。
民事調停の調停調書も、確定判決と同じ効力を有していますから、債務者が不履行の場合には、強制執行をすることができます。
もっとも、調停は、話し合いにより解決を図る制度ですので、当事者間で合意に至らなければ、調停は不成立となり手続は終了します。その場合は、他の強制力ある手段によって解決を図ることになります。
(2)支払督促
支払督促とは、債権者が簡易裁判所に対して申立て行い、これに基づいて、簡易裁判所の書記官が債務者に対し支払いを命じる略式の手続です。支払督促が債務者に送達されて2週間以内に債務者が異議を出さない場合には、強制執行をすることが可能となります。他方、債務者が異議を申し立てた場合には、支払督促は効力を失い、通常の訴訟に移行します。
債務者から異議がでない場合は、短期間に、安価な費用(訴訟の場合の半額の手数料)で、訴訟を提起せずに判決と同様の効果を得ることができます。
(3)少額訴訟
少額訴訟は、60万円以下の金銭の請求について、簡易裁判所において通常の訴訟よりも審理手続を簡易化して1回の期日で集中して審理を行い、判決も原則としてその日に出す手続です。法廷では、基本的に、裁判官と共に丸いテーブルに着席する形式で審理が進められますので、訴訟の途中で話し合いにより解決をすることもできます。
少額訴訟も、短期間に、安価な費用で行うことができ、少額の金銭債権の回収をする場合にはとても便利な制度です。
もっとも、通常の訴訟に比べてかなり簡略化された手続ですので、相手方がこのような簡易な手続きに反対し、異議を出せば通常の裁判に移行します。
なお、少額訴訟の判決に対しては、簡易裁判所に異議申立てをすることができますが、地方裁判所に控訴をすることはできないので注意が必要です。
(4)通常訴訟
請求する債権の額が140万円以下の場合は、簡易裁判所に対して、140万円を超える場合や特定の紛争は、地方裁判所に対して訴えを提起します。
簡易裁判所における手続は、地方裁判所における手続と比べて比較的簡易になってはいますが、訴訟手続きであることには変わりはありませんので、弁護士に依頼して対応することが望ましいケースもあります。
少額訴訟、支払督促、民事調停、通常訴訟等の法的手続きの詳細については、【こちら】をご確認ください。
内容証明郵便による請求、交渉、支払督促や少額訴訟は、ご自身で対応することも可能ですが、発言一つでその後の流れが変わり、有利に進められるところが不利になるということもあり得ますので、対応方法等について早めに当事務所にご相談ください。