パリ協定
タイトル..
▷湊総合法律事務所のビジネスと人権法務コンサルティングのご案内
パリ協定
1 企業経営におけるパリ協定の理解の必要性
すでに述べたように企業の排出する温室効果ガスは、地球そのものの存続にとって重大な問題となっています。ESG課題においても最重要課題とされており、この問題に真剣に取り組まない企業は、淘汰を余儀なくされる日が遠からずやってくるでしょう。
温室効果ガスに関する国際的な取り決めがパリ協定です。したがって、企業経営をするものは、パリ協定の概要はしっかりと理解して、自社経営に関連付けて対応していくことが不可欠となります。
2 パリ協定の概要
パリ協定とは、2020年以降の気候変動問題に関する、国際的な枠組みであり、1997年に策定された京都議定書後継となるものです。
パリ協定は、2015年にパリで開催された国連気候変動枠組条約締約国会議(通称COP)で合意されました。
パリ協定では、世界共通の長期目標として以下の2点を掲げています。
①世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保ち、5℃に抑える努力をする
②そのため、できるかぎり早く世界の温室効果ガス排出量をピークアウトし、21世紀後半には、温室効果ガス排出量と(森林などによる)吸収量のバランスをとる
パリ協定では、京都議定書とは異なり、途上国を含む全ての参加国に、排出削減の努力を求める枠組みである点で画期的です。今日、発展途上国は急速に経済発展を遂げ、それに伴って排出量も急増しています。2016年の温室効果ガス排出量シェアを国別で見ると、中国が23.2%で1位、インドが5.1%でロシアと並んで同率4位となっています。日本の温室効果ガス排出量シェアは2.7%ですから、これらの国々に排出削減努力をしてもらうことは非常に重要な課題となりました。
3 日本の排出削減目標
パリ協定では、日本は、2013年度比26%減(2005年度比25.4%減)を、2030年度までに削減しなければならないとされています。そして、この削減目標は、企業に対しても取組が求められています。
今後、これがルール化されるリスクがあり、これはビジネスチャンスにもなり得ると言われています。
各企業において削減していく具体的方法は、「TCFDを活用した経営戦略立案のススメ~気候関連リスク・機会を織り込むシナリオ分析実践ガイド~」(環境省 2020.3)、「TCFD気候関連財務情報開示タスクフォース最終報告書」に詳細に記載されています。ぜひこちらをご参照ください。
【TCFDを活用した経営戦略立案のススメ~気候関連リスク・機会を織り込むシナリオ分析実践ガイド~」(環境省 2020.3)】
http://www.env.go.jp/policy/policy/tcfd/TCFDguide_ver2_0_J.pdf
【TCFD気候関連財務情報開示タスクフォース最終報告書】
4 環境デュー・ディリジェンス
環境省は現在、「環境デュー・ディリジェンスに関する手引書(案)」を策定中です。遠からず確定されるので必ず取り組む必要があります。今後の動向には是非注目をしていてください。
【環境デュー・ディリジェンスに関する手引書(案)】
http://www.env.go.jp/press/107370/mat2_107370.pdf
また、「責任ある企業行動のためのOECDデュー・ディリジェンス・ガイダンス」も非常に有用ですので、是非ご参照ください。
【責任ある企業行動のためのOECDデュー・ディリジェンス・ガイダンス】
https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000486014.pdf
▷湊総合法律事務所のビジネスと人権法務コンサルティングのご案内
![]() |
![]() |
湊総合法律事務所HP記事のご案内
書籍のご案内
![](http://kigyou-houmu.com/wp/wp-content/uploads/2021/03/ヒューマンライツ経営-204x300.jpg)
弁護士 湊信明(共著)
日本経済新聞出版
(ビジネスと人権に関する行動計画 2020年10月政府策定に対応)
第1章:第5次産業革命の生存戦略
第2章:「ビジネスと人権に関する指導原則」が企業の成長を加速する
第3章:人権問題・社会課題を解決する企業が飛躍的に成長する
第4章:「ビジネスと人権」に関する行動計画のココを経営に取り込む
第5章:企業行動は国別行動計画からのステップアップが必要 他
ESG・SDGs・ビジネスと人権に関する指導原則の関連ページ
トムソンロイター社 ASIAN LEGAL BUSINESS(2021年12月号)に 「ESGと企業経営」についての記事(弁護士 湊信明)が掲載されました。 ▷詳しくはこちらをご覧ください。 |
【動画配信のご案内】 弁護士 湊信明が、分かりやすく解説しております。是非ご覧ください ※「中小企業法務チャンネル(株式会社プロローグ)」にてネット配信中◆ESG経営とビジネスと人権に関する指導原則 ①GPIFの責任投資原則に則ったESG投資とは?>>>②セールスフォース社の事例など取引先の強制労働・人権侵害と人権デューデリジェンス>>>③イギリス現代奴隷法と介護等の技能実習生問題、中国ウイグル自治区人権問題>>>④東京オリンピック・パラリンピックと調達コードの策定>>>◆SDGsとは? ①ラナプラザ崩壊事故の悲劇と世界のカカオ豆児童労働・強制労働の実態。 ダボス会議のグレートリセット>>> ②国連の2030アジェンダから見る中小企業・経営者としてできること・取り組み事例>>> ③ゴミ・環境問題と対策。食品のトレーサビリティとAI・ブロックチェーン技術の融合>>> ◆ESG投資とサスティナブル経営。 |