仮差押手続
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仮差押手続
仮差押えとは、訴訟を提起する前に、一定の財産を仮に差し押さえておく手続です。
訴訟を提起して判決を得るまでの間に相手方が財産を費消したり、隠匿したりするおそれがあるなど、債権を保全しておく必要がある場合、訴訟提起前に、相手方の財産のうち債権額に相応する財産を仮に差し押さえることができます。
そして、仮差押えができれば、訴訟提起後、確定判決を得たあとに、仮差押えの対象財産についてそのまま強制執行することができます。
仮差押えの対象財産には、大きく分けて不動産、動産、債権の3種類があります。
当事務所の経験上、相手方の銀行預金や給与など、債権を仮差押えするケースがほとんどです。例えば、銀行預金は銀行名・支店名と口座名義がわかっていれば仮差押えが可能ですし、給与債権は勤務先がわかっていれば可能となります。
仮差押えを行う際の注意点として、債権者は担保金として債権額の10~30%程度の金額を裁判所に納めなければなりません。
仮差押手続は、債権者からの一方的な申立てにより行われるため、例えば虚偽の事実の申立てにより仮差押えが行われ、これに基づき債務者が損害を被った場合などに、損害賠償にあてるための担保金を裁判所に納めておくことが必要なのです。
この担保金が用意できるか否かも、仮差押え手続を行うべきかについての重要な判断要素となります。
仮差押手続は、基本的には、以下の手順で進みます。
1.仮差押命令申立書の作成及び疎明資料の準備
2.裁判所に対して仮差押申立書及び疎明資料を提出
3.担当裁判官との面接
4.裁判所からの担保金納付命令
5.担保金の納付(供託)
6.裁判所の仮差押命令の発令
仮差押手続は、債権者の債権が存在すること(被保全債権の存在)や仮差押えをしなければ債権回収が難しくなるなどの事情(保全の必要性)などの必要事項を記載した仮差押命令申立書を作成したり、裁判官との面接を複数回に渡り行ったりする必要がありますので、弁護士に依頼しなければ対応することが難しい手続です。
当事務所では、仮差押え手続きの申立てにも豊富な経験を有していますので、是非ご相談ください。
解決事例
依頼会社は、旅行代理店の企画旅行に申し込み、旅行代金800万円を支払いましたが、出発日より前に旅行代理店側の問題が発生してキャンセルが続出し、依頼会社もキャンセルを申し出ました。ところが、旅行代理店は、キャンセルは受け付けたものの、旅行代金から何割か引いた金額で和解してくれないかという話をするだけで、旅行代金をなかなか返そうとしませんでした。
依頼会社からの依頼を受けた当事務所が、申込時に指定された旅行代金の振込先口座に仮差押手続を行ったところ、旅行代金全額に相当する金員を仮差押えすることができました。そして、旅行代理店が当事務所に対して、旅行代金全額を返金するので仮差押えを取り下げてほしいと求めてきたため、当事務所は、旅行代理店との間で旅行代金全額の返金を受けることと引き換えに仮差押手続を取り下げる合意を締結し、旅行代金全額を回収することができました。