事業再生ADR

事業再生ADR

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事業再生ADR制度は、産業活力再生法の平成19年改正により創設された私的再建手続きの一種で、主に金融機関のみを対象にして、事業を継続しながら企業の再生を目指す制度です。
法務省と経済産業省に認定を受けた民間の中立的立場の専門家(事業再生ADR機関)が、債務者と債権者の調整を行います。専門家の監督の下、私的再建の透明性を高め、利害関係者の参加インセンティブとすることがその目的です。
事業再生ADR制度も、裁判所を利用せずに債権者との交渉によって再建を図る手法ですので、私的再建の一つです。

事業再生ADRのメリット

 事業再生ADRも、他の私的再建と同様に、基本的には金融機関のみと協議を進める手続きであり、仕入先・取引先を巻き込む必要はありません。そのため、信用不安を生じさせずに事業を継続しやすいというメリットがあります。
 また、事業再生ADR特有のメリットとして、
① 私的再建であるにも拘わらず債権放棄による損失につき無税償却が認められる
② つなぎ融資に対する債務保証や、法的整理に移行した際のつなぎ融資に対する優先弁済が設定されている
ことが挙げられます。

但し、全額保証ではなく、法的手続きに移行した場合に債権カットの対象ともなるため、実際につなぎ融資を実行してくれる金融機関は少ないと思われます。

事業再生ADRのデメリット

 事業再生ADRは、対象債権者の1人でも反対している場合、特定調停や民事再生・会社更生手続に移行することになってしまいます。
2011年1月に、バイオ関連企業の林原が事業再生ADRを申請しましたが、調整がつかず、わずか数日で断念し、会社更生法の適用を申請したことは、記憶に新しいところです。
また、手続費用が相当高額であることから、事業再生ADRを採用し、メリットが得られるのは、中堅以上の企業に限られると思われます。

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