フリーランスと競業避止義務

フリーランスと競業避止義務

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解雇の要件とは

1.内閣府による分析結果の公表

令和元年7月24日、内閣府が「政策課題分析シリーズ」を公表し、第17回のテーマは「日本のフリーランスについて-その規模や特徴、競業避止義務の状況や影響の分析- 」(以下「本分析結果」といいます。)でした。いわゆる働き方改革において着目されるフリーランスについての分析です。
これまで競業避止義務については主に企業と従業員との間の契約や就業規則の定め方が議論され、判例などの蓄積もされてきたところではありますが、今後増えると考えられるフリーランスとの間の契約に関する議論・判例の蓄積は多くありません。そのため、本分析結果は非常に興味深いものであるといえます。
以下では、本分析結果の概要を紹介した上で、競業避止という観点から今後法律上どのような問題が想定されるのかについて考えていきます。

2.本分析結果の内容

(1)フリーランスの人数規模

まず、本分析結果では今まで統計等では不明瞭だったフリーランスの人数について、新たなアンケートを実施するなどして公表しています。これによれば、フリーランスの人数は306万人~341万人であり、全就業者に占める割合は約5%(本業は約3%、副業は約2%)であると推計されます。
実に就業者の20人に1人がフリーランスとして働いているといえます。もっとも、米国では全就業者に占める割合は6.9%(本業)とのことで、日本よりもより多くの方がフリーランスとして働いているため、今後日本のフリーランスの人数はさらに増える可能性があります。

(2)競業避止義務を課されているフリーランスの割合

次に、本分析結果では自身に競業避止義務が課されているのか否かについてもアンケート調査を実施しています。結果は、「雇用者」(労働者)は競業避止義務が「ある」または「あるかもしれない」と回答した者が合計約24.4%であるのに対し、「フリーランス」は合計約8.6%にとどまるというものでした。
フリーランスには競業避止義務が課されることが少ないといえますが、それでも約8.6%は競業避止義務が課されています。フリーランスは様々な依頼者から様々な業務の依頼を受け、競業避止義務が課せられると他の業務を行いにくくなる傾向がありますので、今後競業避止義務が課されることが増えるとトラブル等が多くなるかもしれません。

(3)賃金プレミアム

本分析結果は、競業避止義務を課す代償として賃金を高く設定する、いわゆる「賃金プレミアム」の存在が確認されたと公表しています。競業避止義務を有効にするためには一定の代償措置を設けることが望ましいことは判例等から明らかであり、実際にも代償措置を設けることが多いことが分かりました。

3.今後想定される法律上の問題

本分析結果を受けて、競業避止という観点から今後法律上どのような問題が想定されるのでしょうか。

(1)フリーランスの立場から考えた場合

フリーランスの立場からは、競業避止義務によって自身の業務に支障が生じないように、業務委託契約書の内容を確認し、必要に応じて修正することが必要です。賃金プレミアムの設定を求めて交渉することが必要な場合もあると考えます。
また、契約書を深く検討しなかったため、気付かないうちに競業避止義務が課せられていたという場合は、競業避止義務の無効を主張できないか検討します。条件の有無、対象地域の範囲及び有効期間などによっては、競業避止義務が無効になる場合があるからです。

(2)企業の立場から考えた場合

フリーランスと契約締結する企業の立場からは、今後フリーランスと業務を行うことが増加するに伴い、自社の秘密情報やノウハウが競合他社へ流出してしまうリスクが大きくなりますので、これを防ぐためにフリーランスとの業務委託契約書に競業避止義務に関する条項を定めることが必要です。
その際は、賃金プレミアムを設定するか否かも検討します。
競業菱義務が無効にならないように契約条項の内容をよく検討して定めることが求められます。

(3)当事務所へのご相談

フリーランスまたは企業のいずれの立場からの対応についても、競業避止義務に関する専門的な知識が必要ですので、弁護士にご相談いただくことをお勧めいたします。
当事務所では、競業避止義務に関する多くのご相談に対応しております。
以下のページも踏まえてご検討いただき、一度当事務所にご相談いただければと存じます。

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