産業廃棄物処理法違反の事例と刑罰について
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産業廃棄物処理法違反の事例と刑罰について
本項では、実際にどのようなケースで、どのような処分に該当するのかをまとめましたので、ご参考にして下さい。刑事裁判等の司法の段階に行く前に、行政処分が行われるケースが多くを占めますが、以下に掲げる事例は、そもそも罰則も定められているくらい重大な法違反に該当するケースであることを認識する必要があるといえます。
1.委託基準違反関係の事例
実施したこと | 刑罰(処分) |
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工事で発生した産業廃棄物を積み込み積み卸し場所である都道府県又は政令指定都市の許可を持たない業者に運ばせた | 5年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金又はこれの併科 |
・産業廃棄物収集運搬の許可を持つ業者に対し、委託契約書を作成することなく、産業廃棄物の収集・運搬を委託した ・産業廃棄物を委託契約書を締結しないまま受け入れ、事後に契約書を交わした |
3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金又はこれの併科) |
・産業廃棄物収集運搬の許可を持つ業者に対し、許可品目以外の産業廃棄物の収集運搬を委託した | 3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金又はこれの併科 |
・産業廃棄物収集運搬の許可を持つ業者に委託したものの、契約終了日から5年間、委託契約書を保存していない | 3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金又はこれの併科 |
・産業廃棄物収集運搬委託契約時に産業廃棄物の発生地・処分地の許可を確認せず委託契約書を締結した | 委託基準違反(3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金、又はこれの併科) ※許可がない場合 委託先処理業者選択基準違反 (5年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金又はこれの併科) |
2.事業範囲の無許可変更
実施したこと | 刑罰(処分) |
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・排出事業者から気軽に頼まれて、廃棄物収集運搬業の許可の範囲に含まれない産業廃棄物を運搬した | 事業範囲の無許可変更(5年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金又はこれの併科) |
・積替保管の許可がないにもかかわらず、自社敷地内で積替保管を行った | 事業範囲の無許可変更(5年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金又はこれの併科) |
3.再委託禁止規定違反
実施したこと | 刑罰(処分) |
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・下請業者が産業廃棄物の収集・運搬又は処分を元請業者に無断で変更した | 再委託禁止規定違反(3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金又はこれの併科) |
4.管理票(マニフェスト)違反関係
実施したこと | 刑罰(処分) |
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・産業廃棄物収集運搬の許可を持つ業者に対し、産業廃棄物の運搬の都度、マニフェストを交付しなかった ・産業廃棄物を受領する際にマニフェストの交付を受けていない |
マニフェスト交付義務違反 (6月以下の懲役又は50万円以下の罰金) |
・産業廃棄物収集運搬の許可を持つ業者に対し、法令で定める規定の記載 をしないで、マニフェストを交付した | マニフェスト記載義務違反 (6月以下の懲役又は50万円以下の罰金) |
・産業廃棄物の処分が終了していないにもかかわらず、マニフェストを送付した | 虚偽のマニフェスト交付禁止規定違反(6月以下の懲役又は50万円以下の罰金) |
5.変更届出義務違反
実施したこと | 刑罰(処分) |
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・届出をしている保管場所以外の場所で、受託した産業廃棄物を保管し、保管の場所に関する事項を変更していたにもかかわらず、変更の届出を行っていなかった | 変更届出義務違反(30万円以下の罰金) |
6.違反が複数にわたる事例
実施したこと | 刑罰(処分) |
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・下請業者でマニフェストを用意し、下請業者が元請業者名を記入した | 再委託禁止規定違反(3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金又はこれの併科) 虚偽のマニフェスト送付禁止規定違反(6月以下の懲役又は50万円以下の罰金) |
・排出事業者の書面による承諾のないまま再委託による運搬が行われたにもかかわらず、その旨を明示せずに虚偽の記載がされたマニフェストの写しを排出事業者に送付した ・排出事業者の書面による承諾のないまま処理を受託した産業廃棄物を別の処理業者に再委託したにもかかわらず、再委託行為を隠すために、マニフェストに受託者において中間処理を行った旨を記入し、排出事業者に送付した |
再委託禁止規定違反(3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金又はこれの併科) 虚偽のマニフェスト送付禁止規定違反(6月以下の懲役又は50万円以下の罰金) |
・業者が産業廃棄物の収集運搬・処分に関する委託契約書を締結せず、マニフェストを交付しない | 排出事業者につき、委託基準違反 (3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金又はこれの併科) マニフェスト交付義務違反 (6月以下の懲役又は50万円以下の罰金) |
・産業廃棄物受け入れ時に、アスベストの混入の有無を確認をしなかったところ、後日、アスベストの混入が判明した | 排出事業者につき、委託基準違反 (3年以下の懲役若しくは300万円以下の金又はこれの併科) 虚偽のマニフェスト交付禁止規定違反 (6月以下の懲役又は50万円以下の罰金)特別管理産業廃棄物収集運搬業の 許可がない場合 受託禁止規定違反(5年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金又はこれの併科)特別管理産業廃棄物処理業の 許可がない場合 無許可営業・受託禁止規定違反 (5年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金又はこれの併科) |
7.その他の違反事例
実施したこと | 刑罰(処分) |
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・産業廃棄物の処分のための保管場所の囲いが破損し、事業場外に産業廃棄物が流出した | 12条1項産廃処理基準違反(許可取消、事業の停止、措置命令、改善命令) |
・産業廃棄物収集運搬許可車両以外の車両で産業廃棄物の収集運搬が行われている | 産業廃棄物処理(収集運搬) 基準違反(改善命令) |
・産業廃棄物を保管するに当たって、保管基準(種別・範囲・高さ等)に 満たない態様で保管している | 産業廃棄物処理基準違反(事業の停止、措置命令、改善命令) |
・産業廃棄物の保管上限及び保管高さが届出をした保管上限及び保管高さを超過している | 変更届出義務違反(保管場所の所在地や面積等に変更がある場合、30万円以下の罰金) |
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