広告に使用する素材と著作権

広告に使用する素材と著作権

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広告に使用する素材と著作権

広告には、様々な表現、キャッチコピー、写真、イラスト、動画、人の肖像を用いたものなど様々な素材が使用されます。広告作成の際には、著作権、商標、不正競争防止法、パブリシティ権、肖像権などが関係しますが、ここでは著作権との関係について説明します。

著作権法の保護を受ける著作物とは、「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」をいいます。

広告の作成にあたっては、使用しようとしている素材が、第三者が著作権を有する「著作物」に該当するのではないかという確認・検討が必要です。

文章・キャッチフレーズ・スローガン

広告における文章は、販売促進のため顧客の購買意欲を高めるよう工夫されたものですので、著作権の対象となり得ますが、あまりに短い文章は、創作性に乏しいことを理由に著作物には該当しないと考えられます。

例えば、「今でしょ!」などの短いキャッチフレーズやスローガンは、著作物として認められる可能性は低いと言えます。

もっとも、俳句やこれに類するような創作性がある場合は著作物になります。例えば、「ボク安心 ママの膝より チャイルドシート」との標語について、裁判では「家庭的なほのぼのとして車内の情景を効果的に的確に表現し、全体として5・7・5調で表現している」として、創作性あり、すなわち著作物となると判断されました。

なお、企業や商品を象徴するような周知性のあるキャッチフレーズを用いる場合には、著作権侵害に該当しない場合であっても、不正競争防止法違反となり得るので注意が必要です。

写真・イラスト

絵画などを平面からそのまま映したような何ら創意工夫のないものは例外として、写真やイラストは原則として著作物となります。

単純な製品写真や動物の写真も、被写体の選択、組合せ・配置、アングル、構図などに創作性が認められることが多く、その場合著作物として、著作権の保護の対象となりますので、「フリー素材」と明示して提供されている場合を除き、無断でこれを使用することはできません。

また、著作権者は原始的には撮影者・作成者となるため、広告素材として写真やイラストを利用する場合には撮影者・作成者に使用について許可を得る必要があります。当該写真やイラストを継続的に利用したいという場合には、その都度使用許可を得る方法よりも、撮影者から著作権の譲渡を受けておくことも検討するとよいでしょう。

広告ポスター、カタログ、会社案内など

広告を構成する一つ一つのコンテンツについて著作権が認められる可能性があることを意識する必要があります。また、デザイン、構図、素材の選択または配列などに創作性があれば、ポスターやカタログ全体として編集著作物として保護されます。

ロゴ・シンボルマーク

企業イメージや商品イメージが表現されたシンボルマークについては、創作性が肯定され、著作物と認められることが多いといえます。

他方で、書体のデザインを利用したロゴタイプについては、創作性を認めることは一般的に困難であり、著作物性が認められるのは、書体のデザイン的要素が「美術」の著作物と同視し得るような美的創作性を感得できる場合に限られると理解されています。

 

広告作成にあたっては、まず、著作権についての確認が必要です。素材によっては、著作物に該当するのかどうかの判断が難しい場合もありますので、必要に応じて弁護士に相談するなど十分に留意しましょう。

また、著作物を利用して広告を作成する際には、あとから「著作権を侵害された」と主張されて差し止め請求などされないよう、必ず使用許諾契約書や著作権譲渡契約書を締結しておく必要があります。

当事務所では、広告作成に関する法的アドバイスや、契約書のリーガルチェックも行っていますので、お気軽にご相談ください。

 

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