消費者契約法

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消費者契約法

1 消費者契約法とは

消費者と事業者の間では、契約の際、持っている情報の質・量に格差があるため、消費者の利益の保護を目的に、契約の取消し、契約条項の無効などを定めた法律で、平成12年に成立しました。

同法に基づき、事業者側の不当な一定行為によって消費者が誤認・困惑などして契約の申込み・承諾等をおこなった場合には、消費者はその取消しが可能となります。

事業者の損害賠償責任の免除など消費者側に不当に不利な契約条項についても、全部または一部は無効とされます。

 

平成18年の法改正では、被害を訴える消費者が多数である場合、一定の消費者団体が、これら被害者に代わり、事業者に対して訴訟を起こし、行為の差止め請求も行えるようになりました。

 

その後も、平成28年、平成30年、及び令和4年においても、取消し、無効の対象となる行為の範囲拡大などを定めた法改正が成立しており、消費者保護の強化が図られています。事業者としては、同法に抵触しないよう改正部分を含め注意を払っていく必要があります。

 

2 どのような行為が契約の取消しの対象となるか

事業者が以下のような行為をしたことにより、消費者が誤認をし、これによって契約を締結した場合には、その意思表示を取り消すことができます(消費者契約法4条)。

誤認型

・契約の重要事項につき、事実と異なることを告げた(不実告知)

・契約の重要事項につき、消費者に不利益な事実を告げなかった(不利益事実の不告知)

・将来における変動が不確実な事項について、消費者に確実であると告げた(断定的な情報提供)

 

困惑型

・勧誘を受けた消費者が退去して欲しいと告げたにもかかわらず、退去せずに勧誘を続けた(不退去)

・消費者が勧誘を受けている」場所から退去したいと告げたにもかかわらず、退去させなかった(退去妨害)

・勧誘をする目的であることを告げずに、消費者が退去しづらい場所に連れて行って勧誘を行った

・消費者の社会経験が乏しく、願望の実現に不安があるなかで、これを煽る勧誘を行った(不安の告知)

・消費者の社会経験が乏しい中、消費者に好意を抱かせ、かつ勧誘者も同様に好意を抱いていると誤信させつつ、契約をしなければ、関係が破綻すると告げた(デート商法等)

・判断力が著しく低下している高齢者等が生活への不安を持つところ、これを煽る勧誘を行った(判断力低下の不当利用)

・霊感等により、消費者の生命、財産などが現在、若しくは将来において重大な不利益が生じると煽り、または不安に付け込んで契約が必要と告げた(霊感商法等)

・威迫する言動を交えて消費者が第三者に相談の連絡をすることを妨害した

 

過量契約

・通常の使用分量を超える物の購入を勧誘した(過量契約)

 

契約締結前の行為

・契約締結前に、事業者が契約の一部を実施したり、目的物の現状を変更したりして、実施前の原状回復を著しく困難にした

・契約締結前に、事業者が契約締結を目指した活動により生じた損害の補償を請求するように求めた

 

3 どのような契約条項が無効になるか

事業者の免責範囲が不当に過大といえる条項、消費者に契約の解除権を放棄させる条項などが無効となります(消費者契約法8条から10条)。

 

契約書の条項が無効となる場合については、こちらをご確認ください。

 

4 消費者契約法違反となる具体的ケース

以下のような場合に法令違反となり、契約の取消し、条項が無効とされる可能性があります。

 

<ケース1>(不利益事実の不告知による取消し)

不動産会社が、あるマンションの一室を販売しようとした際、眺望、日照を害する隣接の高層マンションの建設計画を知りながら、マンションの眺望、日照が良好であることを告げ、これを決め手に顧客がマンションを購入したところ、その後、マンションの隣接地に高層マンションが建設され、マンションの眺望、日照が大幅に悪化した。

→マンション購入の際、顧客にとって重要といえる眺望、日照について、不動産会社からこれらが良好と告げられ、これが購入の決め手になったといえるところ、重要事項といえるマンションの眺望、日照について、将来これが害されることを不動産会社が知っていたのに、そのことを客に告げなかったことが不利益事実の不告知にあたるとして、契約の取消しが認められる可能性があります。

 

<ケース2>(判断力低下の不当利用による取消し)

認知症で判断力が著しく低下した高齢者が、今後について非常に不安に思っていたところ、販売員がそのことを知りながら、効果が未知数のサプリメントの購入を勧め、これを摂取しなければ、現在の判断力も維持できなくなるなどと告げて、商品を購入させた。

→加齢等により判断力が著しく低下している高齢者の過度な不安を知りながら、その不安を煽り、根拠なく、商品の購入をしなければ現在の生活の維持が困難になると告げ契約を締結させたことが、判断力低下の不当な利用に当たるとして契約の取消しが認められる可能性があります。

 

<ケース3>(事業者免責条項等)

「当サロンは、会員が施設利用に際し生じた傷害、盗難等の人的、物的のいかなる事故についても一切責任を負いかねます。」とする条項。

→「いかなる事故についても一切責任を負いかねます」という部分が事業者の債務不履行や不法行為による損害賠償責任の全部を免除する条項にあたるとして、無効となる可能性があります。

 

<ケース4>(平均的な損害額を超えるキャンセル料条項等)

懇談会場等の契約で、「契約を解約される場合には、次の金額を解約料として頂戴致します。実際に使用される日から1年以上前の時:契約金額の80%」とする条項

→会場を使用するのが1年後である時点での解約なのに、契約金額の80%を解約料として請求することは、通常の事業者に生ずべき平均的な損害額を超えると考えられるため、平均的な損害額を超える解約料の条項にあたるとして無効となる可能性があります。

 

消費者契約法は、昨今の消費トラブルも踏まえて、改正が多い法律といえます。

当事務所では法改正を注視しつつ、法令違反を避ける社員教育の監修、契約条項のレビューなどを行い、法的紛争が生じないようサポートしております。

今後の営業方法、契約条項の見直しを考えている方、また既に消費者とのトラブルにお悩みの方は、どうぞお気軽にご相談ください。

 

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