消費者契約の契約書の注意点

消費者契約の契約書の注意点

タイトル..

消費者契約の契約書の注意点

事業者に有利な消費者契約は無効になることがあると聞きました。
どのような内容がその対象になりますでしょうか?

事業者に有利な消費者契約の条項は無効になってしまうことがあります。

以下の3種類の条項は,事業者に有利であるとして契約書に盛り込んでいても無効となってしまうおそれがあります。

(1)事業者の損害賠償責任を免除する条項の無効

消費者が損害を受けた場合に正当な額の損害賠償を請求できるように,民法や商法による損害賠償責任を特約で免除又は制限している場合に,その特約を無効化するものです。

(2)消費者が支払う損害賠償の額を予定する条項等の無効

消費者が契約解除のときや契約に基づく金銭の支払義務の履行を遅滞した場合の違約金の額を制限するに不当な条項を無効とすることで消費者の契約解除権を尊重し,消費者とを防ぐというものです。

(3)消費者の利益を一方的に害する条項の無効

上記の(1)(2)以外にも消費者の利益を一方的に害する条項がある場合,民法,商法その他の法律の任意規定の適用による場合に比べ,消費者の権利を制限し,または消費者の義務を加重する特約で,その程度が信義誠実原則に反するものは無効となります。

消費者の利益を一方的に害する条項にあたる例は次の場合!

① 消費者からの解除・解約の権利を制限する条項

例えば「消費者は受け取った商品が故障していても解除できない」との条項は,消費者の民法570条の瑕疵担保責任に基づく解除権を一方的に奪うため無効と考えられます。この条項が無効の場合には消費者から瑕疵担保責任に基づく解除権行使を受けることになります。

② 事業者からの解除・解約の要件を緩和する条項

「事業者は消費者が一度でも債務履行を怠った場合には当然に解除されたものとする」との条項は,解除の意思表示を要するとする民法540条1項と,履行遅滞解除の場合に催告を必要とする民法541条の各要件を事業者にだけ緩和するものであり,無効と考えられます。この条項が無効の場合には,事業者は消費者に催告をした上で解除の意思表示をしなければならなくなります。

③ 消費者の一定の作為または不作為により,消費者の意思表示がなされたものまたはなされなかったものとみなす条項

「商品を受け取った場合に購入しない通知を出さなければその商品を購入したこととみなす」との条項は無効と考えられます。この条項が無効の場合には,事業者は消費者から改めて承諾の意思表示がない限り商品代金を請求できなくなります。

④ 事業者の証明責任を軽減し,または消費者の証明責任を加重する条項

「事業者に対する債務不履行責任は消費者が事業者の帰責事由を立証しない限りなしえないものとする」との条項は,民法415条の事業者の証明責任を軽減するものであり無効と考えられます。

⑤ 消費者の権利行使期間を制限する条項

瑕疵担保責任期間を正当な理由なく短縮する条項は無効と考えられます。

自社に一方的に有利な契約書を作ったとしても,かえって後日に問題が起きやすいものであるという認識を持つ必要があります。

事業者は,無数の消費者を相手に契約を締結しますので,基本契約の一部が無効である場合,膨大な数の消費者との関係で契約が無効になってしまうことを意味しています。

契約書の作成は上記認識のもとで慎重を期する必要があります(クーリングオフの問題が生じる特定商取引法適用事業者でなくてもこの問題は共通しています。)。

事業者に有利な内容が果たして許されるものなのかについて民法や商法といった契約法の知識を有する弁護士のチェックを受けておくことが望ましいです。

当事務所では、消費者契約の契約書作成・チェック等を多数手がけております。

消費者問題の関連ページ

ご相談のご予約はこちらから

MINATO Law Office 湊総合法律事務所

〒100-0006 東京都千代田区有楽町1-7-1
有楽町電気ビルヂング北館12階1213区

03-3216-8021※受付時間 9:00〜18:00

でのお問い合わせはこちらから