このような決議事項に注意しよう(取締役会)
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このような決議事項に注意しよう
重要な経営課題についての方針決定に関する事項
前述のとおり、会社の「重要な業務執行」については、取締役会で決議しなければなりません(362条4項)。
何が重要な業務執行にあたるかは、各会社の個別具体的な事情により異なりますが、重要な経営課題についての方針決定、例えば年間事業計画、年間予算、主力製品の決定・変更などはこれに含まれると考えられます。
また、重要か否かは各会社の実態に応じて判断されます。例えば一定の財産の処分が「重要な財産の処分」(362条4項1号)にあたるかは、「当該財産の価格、その会社の総資産に占める割合、当該財産の保有目的」等の事情を総合的に考慮して判断すべきものとされています(最高裁平成6年1月20日)。
この判断が難しい事項については、念のため取締役会の決議を経ておくのが安全であると言えるでしょう。
代表取締役の選任に関する事項
代表取締役は取締役会の決議により選任されます(362条2項3号)。
代表取締役の選任につき取締役会決議を経ていなかったり、当該決議に不備があり決議が無効となった場合、当該決議によって選任された代表取締役がその後に行った行為も原則無効となりますので、会社に大混乱を及ぼすおそれがあります。
なお、例外として、取引の相手方が、有効な選任決議を欠いていたことを知らなかった場合には、会社は取引が無効であることを主張できないとされています(最高裁昭和56年4月24日判決)。
競業取引・利益相反取引に関する事項
取締役が自己または第三者のために会社の事業の部類に属する取引をしようとするとき(競業取引)や、取締役が自己または第三者のために会社と取引をするなど会社と利益が相反する取引をしようとするとき(利益相反取引)には、取締役は取締役会に対し、当該取引につき重要な事実を開示し、その承認を受けなければなりません(365条1項)。
さらに、競業取引または利益相反取引を行った取締役は、当該取引後、遅滞なく、当該取引についての重要な事実を取締役会に報告しなければなりません(365条2項)。
このような規定に違反した取締役は、任務懈怠として損害賠償責任を負うことがあります(423条1項)。また、取締役会決議を経ずに競業取引を行った場合、当該取引によって取締役または第三者が得た利益の額は会社に生じた損害の額と推定され(423条2項)、実際に得た利益よりも多額の損害賠償責任を負うおそれもあります。
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