取締役会・株主総会の議事録とは?記載事項・リスクについて弁護士が解説
タイトル..
1 株主総会議事録の作成・記載に関する事項
株主総会議事録に関する会社法上の規定
◆ 総会議事録の作成・備置等
株主総会の議事については、法務省令(規則72条3項)に定める事項を内容とする議事録を作成しなければならないとされています(318条1項)。 総会議事録は、書面または電磁的記録 をもって作成する必要があります(318条1項、規則72条2項)。
総会議事録は、株主総会の日から10年間本店に、その写しを5年間支店に備え置き、株主、親会社社員、会社債権者の閲覧・謄写に供されます(318条2項-5項・325条)。
◆ 総会議事録の記載事項
総会議事録の、一般的な記載事項は次のとおりです(規則72条3項)。
①日時及び場所(当該場所に存しない取締役、執行役、会計参与、監査役、会計監査人または株主が株主総会に出席した場合における当該出席の方法を含む。)
②株主総会の議事の経過の要領およびその結果
③会社法の規定により株主総会において述べられた意見または発言があるときは、その意見または発言の内容の概要
④株主総会に出席した取締役、執行役、会計参与、監査役または会計監査人の氏名または名称
⑤株主総会の議長が存するときは、議長の氏名
⑥議事録の作成に係る職務を行った取締役の氏名
⑦上記の法定記載事項のほか、実務上の任意的記載事項
上記規定に反した場合のリスク
◆ 過料の制裁
会社法の規定に反して、正当な理由がないのに、総会議事録の閲覧・謄写請求を拒んだときや、その懈怠により総会議事録に記載・記録すべき事項を記載・記録せず、または虚偽の記載・記録をしたとき、また会社法の規定に反して、総会議事録を備え置かなかったときは、取締役等は100万円以下の過料に処するとされています(976条4号・7号・8号)。
◆ その他
総会議事録は登記の際の添付書類となることから、実際の総会の内容と異なることが総会議事録に記載されていた場合には、総会の決議内容と異なった登記がなされてしまう可能性があります。
また、総会議事録は、総会決議の成立や内容についての重要な証拠の一つとなりますので、その不作成や内容の不備等により、決議の成立や内容が争われる裁判等において、挙証上の困難が生じることが考えられます。
2 取締役会議事録の作成・記載に関する事項
取締役会議事録に関する会社法上の規定
◆ 取締役会議事録の作成・備置等
会社法では、取締役会議事録を作成しなければならず、出席した取締役及び監査役はこれに署名するか、または記名押印しなければならないとされています(369条3項。同条4項により、取締役会議事録が電磁的記録で作成されている場合は、署名又は記名押印に代わる措置をとらなくてはなりません。)。取締役会議事録は、書面又は電磁的記録をもって作成しなければなりません(369条3項・4項、規則101条2項)。
会社は、取締役会の日から10年間、本店に議事録を備置しなければなりません(371条1項) 。監査役設置会社・委員会設置会社の株主、債権者、親会社の株主は、その権利を行使するため必要があるとき、ないし役員又は執行役の責任追及のため必要があるときは、裁判所の許可を得て 、取締役会議事録又は取締役全員の同意の意思表示(取締役会の決議を省略した場合)についての書面又は電磁的記録の閲覧・謄写の請求をすることができるとされています(371条2項-5項)。
株主・債権者・親会社の株主から、閲覧または謄写請求があったときは、一定の要件のもとこれに応じる義務があります(371条)。
取締役会議事録が、商業登記申請の際の添付書類や裁判上の挙証資料としての役割も負っていることについては、総会議事録と同様です。
◆ 取締役会議事録の記載事項
取締役会議事録の記載事項(会社法施行規則101条3項)については、以下のページをご覧ください。
上記規定に反した場合のリスク
◆ 過料の制裁
会社法の規定に反して、正当な理由がないのに、取締役会議事録の閲覧・謄写請求を拒んだときや、その懈怠により取締役会議事録に記載・記録すべき事項を記載・記録せず、または虚偽の記載・記録をしたとき、また会社法の規定に反して、取締役会議事録を備置しなかったときは、取締役等は100万円以下の過料に処するとされています(976条4号・7号・8号)。
◆ 異議をとどめなかった取締役の責任
取締役会の決議に参加した取締役であって、取締役会の議事録に異議をとどめないものは、その決議に賛成したものと推定されます(369条5項)。
取締役が任務を怠った場合は、これによって生じた損害を会社に対して賠償する責任を負うものとされています(423条1項)が、取締役会の決議により行われた行為により損害が生じた場合は、一般的な相互監視義務違反として、決議に賛成した取締役については任務懈怠による賠償責任が負わせられる可能性がありますので、注意が必要です。
3 登記に関する事項
登記事項に変更が生じたときは、会社は所定の期間内に、変更の登記をしなければなりません(915条1項等)。
登記義務を怠った場合には、100万円以下の過料に処するとされています(976条1号)。
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