フランチャイザーの義務違反・契約違反
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フランチャイザーの義務違反・契約違反
フランチャイズ契約では、フランチャイザーの行為が契約違反や違法であるなどとしてフランチャイジーから訴えられるケースも少なくありません。その理由は、フランチャイザーによる契約締結前の説明が実際とかけ離れていた、契約上定められている指導援助義務に反して適切な指導・援助が行われていない、不当な価格の制約を受けている、一方的な契約更新の拒否は不当であるなど様々です。これらの具体的なケースについて、以下にて説明いたします。
<ケース1>不当な勧誘等について
小売店を経営するXは、経営不振の折、コンビニに鞍替えしようと、コンビニチェーンY社の担当Vから、フランチャイズに関する説明を受け、その際Vは、加盟店になれば十分な収益を上げられるとする収益予測を提示した。
その結果、Xはフランチャイズ契約をY社と締結し、コンビニを開業したが、収益予測と異なり、月々の収益は赤字が継続することとなった。
のちに、Xは、Y社が、具体的な根拠なく、かさ上げした収益予測をXに告げていたことを知った。
詐欺による不法行為の可能性
フランチャイズ本部が、ある事実の虚偽を知りつつ、故意にこれを加盟契約の候補者に提示し、その結果フライチャンズ契約を締結させた場合は、詐欺として不法行為が成立する可能性があります。
欺瞞的顧客誘引による不法行為の可能性
フランチャイズ本部が、顧客に対し、予想収益額を提示する場合、その算定根拠が合理性をかき、また実際に達成できない額を予想額として示したときは、欺瞞的な顧客取引行為として不法行為が成立する可能性があります。
<ケース2>指導援助義務違反
Xは、焼鳥店を開業しようと考え、焼鳥チェーンを手掛けるY社とフランチャイズ契約を締結したところ、本契約書では、店舗の運営のノウハウを学ぶ研修期間があり、かつアドバイザーが週に複数回指導に来てくれる旨の記載があったが、実際は、研修期間はわずかで、ノウハウはほとんど学べず、アドバイザーからの指導も月に1度あるかという状況が続いている。
指導援助義務違反の可能性
フランチャイズ契約は、フランチャイザーがフランチャイジーの対象事業に関し、経営ノウハウを提供することが契約の本質といえ、指導援助義務が定められていることが通常である一方、フランチャイズ契約書は抽象的な記載内容が多いため、当時のフランチャイザーの説明など周辺事情を参考に義務違反があるかが判断されます。
義務違反があった場合は、この違反により損害が生じた賠償をフランチャイザーが賠償する義務を負うことになります。
<ケース3>価格制限について
フランチャイザーがフランチャイジーに対し、販売する商品の価格と商品の品揃えを決定していたところ、あるフランチャイジーが競合他店が多い周囲の事情から一部商品を値下げしようとしたものの、フランチャイザーにより拒絶された。
独占禁止法違反の可能性
フランチャイザーがフランチャージ―に統一的な希望価格の提示をすることは認められますが、フランチャイザーがフランチャイジーに商品を供給している場合において、フランチャイジーの販売価格を拘束することは、原則として、独占禁止法第2条9項4号に該当し、同法違反となる可能性があります。
<ケース4>不当な更新拒絶
Xは、ラーメンチェーンを手がけるY社をフランチャイザーとしてフランチャイズ契約を締結し、フランチャイジーとしてラーメン屋を順調に営業していたところ、初回の契約の更新日(2年毎)が迫る中、次は契約を更新しない旨をY社から突然告げられた。
一方的な契約終了に対する制限
フランチャイズ契約について、フランチャイザー側からの一方的な更新拒絶を認めるかは、事案により裁判例もわかれています。
フランチャイジー側としては、まず、フランチャイズ契約が長期契約を前提とした契約であったこと、2年間では投資資本を回収できないこと等を挙げ、本件契約の更新規定は、自動更新を重視したもので、例外がない限り更新されるべきものであると主張することが考えられます。また、その例外にあたらないことの事情として、加盟店の経営は順調であり、何ら問題も生じておらず、契約を継続しがたいやむをえない事由は存在しないことを主張することも重要です。
以上のように、フランチャイズ契約では、フランチャイザー側の行為を理由としてトラブルが生じることも少なくありません。このような問題が生じた際には、是非当事務所にご相談ください。