システム開発契約の成否について研究しました。

判例研究

システム開発契約の成否について研究しました。

令和4年2月2日(水)システム開発契約の成否について研究しました。

日時 令和4年2月2日(水)
場所 湊総合法律事務所
報告者 弁護士 沖 陽介
内容 20220202判例研究報告書(沖先生)

第390回判例・事例研究会

日時:令和4年2月2日(水)

場所:湊総合法律事務所

報告者:弁護士 沖 陽介

内容:システム開発契約の成否について

【判例】

事件 東京地判平成14年10月28日金商1274号31頁
(控訴審:東京高判平成17年1月26日金商1274号27頁)
(上告審:最判平成19年2月27日判タ1237号170頁)
事案の概要 開発会社X(原告)はY(被告)からカジノで使用するゲーム機(商品)の開発及び継続的な製造の委託を受けたが、Yの販売先であるAが仕様変更を要求したことを契機に、Yが商品の受領を拒み、代金を支払わなかった。
【主位的請求】XのYに対する債務不履行に基づく商品の開発費及び製作費等相当額1億5937万3000円の損害賠償請求【予備的請求】XのYに対する契約の準備段階における信義則上の注意義務違反に基づく同額の損害賠償請求
今回取り上げる争点 XY間の商品の開発・製造に関する契約が成立しているか。
判旨(一部) 「確かに、前記 1 の(2)の事実によれば、同日には原告が自動牌九機の開発・製造を行うことが決定しており、関係者間で自動牌九機の仕様等についての打合せがなされたこと、原告がこれを受けて本件商品の開発に着手したことが認められる。」「もっとも、前記 1 の(2)で認定したとおり、同日の時点では、開発費の概算額が不明であったのみならず、新製品の開発・販売という局面において極めて重要な事項である特許権の帰属や製造権・販売権の内容について特に議論がなされることもなかったのであるから、同日の時点で原告の主張するような開発契約が締結されたと認めるのは困難である。」
「また、同日の時点では、最終的にCないしAが開発費を負担することが関係者間で了解されていたものの、被告、IDS及びBの本件取引への関与形態が未確定であったと認められること、原被告間において何らかの合意文書が交わされたというような事情も存在しないことからすれば、そもそも原告と被告という 2 当事者間において同日何らかの契約が成立したと考えることはできない。したがって、原告の主張する開発契約の成立は認められない。」
備考 ・Yは、A(代表者C)の委託を受けて、IDSに対し、商品を開発するメーカーを探してほしいと依頼し、これを受けたIDSは、Xに対し、開発が可能か打診した。
・ Yは、Xに対し、商品を、YまたはB以外に販売してはならないと指定した。

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