保証人からの回収
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保証人からの回収
保証人は、債権者との間で保証契約を締結し、債務者がその債務を履行しないときに債務を履行する責任を負います。保証の類型として、保証と連帯保証の2種類があります。
連帯保証でない保証の場合には、保証人に、まずは主債務者に請求すべきであるという主張(催告の抗弁)や、債務者に弁済資力があり執行も容易であるのでまず主債務者の財産について執行すべきであるという主張(検索の抗弁)が認められますので、債権回収のために保証契約を締結する場合には、連帯保証契約とすることが一般的です(保証と連帯保証の違い等については【こちら】をご確認ください)。
連帯保証人からの回収するためには、①誰に保証人になってもらうのが適当であるかを検討し、②保証人との間で書面にて適切な連帯保証契約を締結し、③連帯保証契約に基づいて支払いを請求することが必要です。
1 誰を保証人とすることが適当か
人的担保である保証は、保証人となる人の資力によって債務の支払いの確実性が左右されます。
会社が主債務者である場合、代表取締役が保証人となるケースが一般的ですが、代表取締役は金融機関からの借入の際に保証人となっていることがほとんどですので、代表取締役の資産状況によっては、債権回収のために十分な担保とならない可能性も考えられます。
この場合には、会社経営に深く関わっている他の役員や、場合によっては代表取締役の親族・知人等で保証人となれる者がいないかどうか主債務者と協議することが必要です。
2 書面による連帯保証契約の締結
売買契約などの口頭の合意で成立する契約と異なり、保証契約・連帯保証契約は、書面(電磁的記録でも可)によってしなければその効力を生じません(民法446条2項)。したがって、「保証人を立てる」という際には、債権者と保証人との間で、契約書を作成する必要があります。
保証契約に書面が必要とされている理由は、保証債務の内容を十分に把握しないまま保証人となり、予期せぬ多額の債務を負う事態となることを避けるため、保証を行う際には、慎重にこれを行うため、保証意思が外部的にも明らかになっている場合に限って契約としての拘束力を認めることにあります。
裁判例においては、保証人が主債務者の債務を保証する意思で金銭消費貸借契約書の借主欄に署名押印をした場合には、当該金銭消費貸借契約書は民法446条2項に定める書面に該当すると判断したものもありますが(大阪高裁平成20年12月10日)、金銭消費貸借契約書1通で保証契約を兼ねる場合には、保証人の保証の意思が明らかになる形で契約書を作成しておくことが重要です。
「保証人を立ててもらうことになった」という場合には、契約書の内容を弁護士に確認してもらうことをお勧めします。
3 保証人に対する請求
保証人は、主債務者が債権者に対して負う債務を履行する責任を負います。連帯保証の場合には、まず主債務者に対して請求しなければならないといった制限もありませんので、主債務者に資力不安が生じた場合には、連帯保証契約に基づいて保証人に債務の履行を請求します。
債権回収の場面においては、速やかに対応する必要がありますが、どのような方法が効果的であるかは、従前の交渉状況や主債務者の状態、主債務者の性格によっても異なりますので、弁護士に相談することが有用です。
当事務所は、債権回収に関しても豊富な経験と実績を有しておりますので、保証契約のリーガルチェックから回収段階まで、貴社の状況に合わせた最適な方法をご提案いたします。是非一度ご相談ください。