株主総会参考書類等の電子提供制度を導入したい
タイトル..
2022年9月1日から、会社法の株主総会資料の電子提供制度の創設に関する規定(会社法325条の2~325条の7)が施行されます。
書面ではなくインターネットを利用した情報提供がなされることによって、会社は書面の印刷や郵送等にかかる費用を削減でき、また株主も、書面による場合よりも早期に充実した内容の情報の提供を受けることができるという利点があります。
1 電子提供制度を利用するためには
株式会社は、定款でその旨の定めをおくことに①株主総会参考書類、②議決権行使書面、③計算書類及び事業報告、④連結計算書類です。すなわち、株主総会の日時・場所、目的である事項などを記載した狭義の招集通知については、株主に郵送しなければなりませんので注意が必要です。また、議決権行使書面については、一切送付をせずに電子提供のみとした場合には議決権行使比率の大幅な低下が予想されますので、実務上は送付する会社が多いと思われます。
なお、この制度は公開会社・全株式譲渡制限会社を問わず採用できますが、振替株式を発行する会社については当該定款の定めをおくことが義務づけられ、改正法施行日の時点で振替株式を発行している会社は、施行日を効力発生日とする定款変更の決議をしたものとみなされます。振替株式を発行していない会社についてはこの制度を採用するには定款変更決議をすることが必要となります。
2 電子提供制度の概要
■電子提供措置の期間
電子提供措置を採用する株式会社は、株主総会の日の3週間前の日(それより前に招集通知を発送する場合は招集通知の発送日)から総会の日後3か月を経過する日まで、電子提供措置を実施する必要があります。
■招集通知の発送期限
電子提供措置を採用した会社の招集通知の発送期限は、株主総会の2週間前までとなります。なお、現行法上、非公開会社については招集通知の発送期限は株主総会の日の1週間前までとされていますが、非公開会社が電子提供措置を採用する場合には、2週間前までに発送しなければなりませんので、注意が必要です。
■書面交付請求権
電子提供措置が採用されている会社であっても、株主が株主総会参考書類等について書面による情報の提供を希望する場合には、書面による送付を受けることができます。
書面での提供を希望する場合、当該株主は、株主総会の議決権行使の基準日までにその請求をしなければなりません。
■議決権行使の促進に向けて
電子提供措置を採用する会社では、株主総会参考書類等はウェブサイトなどに掲載され、株主のもとに届くのは、狭義の招集通知と議決権行使書面のみとなるでしょう。
印刷コストの削減、書面の早期開示などの利益のある制度ではありますが、株主としては、主体的にウェブページを見に行かなければ参考書類の内容がわからず、議決権を行使するモチベーションが低下する可能性があります。企業において、議決権行使比率を高めていくための工夫を合わせて行うことが必要となっていくでしょう。
▼決議事項についての記事はこちらから▼
▼その他株主総会についての記事はこちらから▼
- 株主総会
- 株主総会の一般的な対策について~弁護士による同席・出席~
- 「来期の配当アップを約束して欲しい」と求められたら
- 【Q&A解説】取締役の解任を求められた場合の対処法について弁護士が解説
- 株主一人で何問も質問しようとする場合の対処法
- 総会屋対策
- 不祥事があった場合の対策
- 株主から質問状が送られてきた際の回答方法や対処法を弁護士が解説
- 取締役会設置会社の株主総会の開催・運営をめぐるリスク
- 株主総会の決議事項について弁護士が解説
- 過去の不備をどうフォローするか
- 中小企業における株主総会・取締役会の実態と必要性について
- 取締役会・株主総会の議事録とは?記載事項・リスクについて弁護士が解説
- 株主総会決議の瑕疵の例
- 株主総会決議の瑕疵に対する訴え
- 書面投票制度と電子投票制度
- 譲渡制限株式について譲渡承認請求を受けた。どう対応すればよいか?
お困りの方は湊総合法律事務所までご相談ください。
<顧問弁護士について> 顧問弁護士が継続的に企業経営に関する法的なサポートをさせていただくことで、より効果的に法的トラブルを防止し、迅速かつ的確な問題解決を図ることが可能となります。 そのために私達の事務所では法律顧問契約を締結して対応させていただくことをお薦めしております。担当弁護士が貴社の状況を把握して、直接お会いして、あるいは電話、メール、Zoomなどの手段を適切に利用して、相談に臨機応変に対応させていただきます。 こうすることにより問題発生前に法的トラブルを防止し、 企業価値を高めることを可能としています。 法律顧問料はかかりますが、結果としてコストの削減にも繋がっていきます。 ▷顧問契約についての詳細はこちらに掲載しております。是非ご参照ください。 |
取締役のトラブルでお困りの方のために特設ページをご用意しております
【ESG・SDGs関連書籍のご案内】
「成功へと導く ヒューマンライツ経営~人権リスク・マネジメントで勝ち抜く~」
(ビジネスと人権に関する行動計画 2020年10月政府策定に対応)
第1章:第5次産業革命の生存戦略
第2章:「ビジネスと人権に関する指導原則」が企業の成長を加速する
第3章:人権問題・社会課題を解決する企業が飛躍的に成長する
第4章:「ビジネスと人権」に関する行動計画のココを経営に取り込む
第5章:企業行動は国別行動計画からのステップアップが必要 他
会社法の関連ページ
株主総会の関連ページ
- 株主総会
- 取締役会・株主総会の議事録とは?記載事項・リスクについて弁護士が解説
- 株主総会の一般的な対策について~弁護士による同席・出席~
- 「来期の配当アップを約束して欲しい」と求められたら
- 株主一人で何問も質問しようとする場合の対処法
- 取締役の解任を求められた場合の対処法について弁護士が解説
- 総会屋対策
- 不祥事があった場合の対策
- 株主から質問状が送られてきた際の回答方法や対処法を弁護士が解説
- 譲渡制限株式について譲渡承認請求を受けた。どう対応すればよいか?
- 取締役会設置会社の株主総会の開催・運営をめぐるリスク
- 株主総会の決議事項について弁護士が解説
- 過去の不備をどうフォローするか
- 株主総会決議の瑕疵の例
- 株主総会決議の瑕疵に対する訴え
- 書面投票制度と電子投票制度
- 株主総会参考書類等の電子提供制度を導入したい