営業秘密の漏洩に対する法的措置
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営業秘密の漏洩に対する法的措置
Q. 当社はロボットの開発・製造をしていますが、先月退職した従業員が、不正にロボットに使用する部品の製造に関する技術情報を持ち出し、独立開業した会社で使用しようとしていることがわかりました。この技術情報は、当社において、常々、企業秘密であるとして従業員に周知していたものです。どのような措置をとることが可能でしょうか?
A. 企業秘密を元従業員に漏洩されてしまった場合、次のような措置を取ることが考えられます。
1.民事上の措置
不正競争防止法や機密保持契約違反を根拠に、元従業員に対して、使用差止・除去等の請求や損害賠償請求を行うことが考えられます。
・使用差止請求・除去請求
不正競争防止法は、営業秘密を侵害された者の救済手段として、差止請求(同法第3条第1項)及び除去請求(同法第3条第2項)を設けています。
冒頭の事例では、ロボット製造技術情報を元従業員が持ち出していることが発覚した場合、会社としては、まず、当該情報を他社で使用しないように求める必要があります(差止請求)。
また、元従業員が不正に持ち出した技術情報の複製物について、破棄を求めることも考えられます(除去請求)。
しかしながら、これらの請求を行うためには、同法の規定する「営業秘密」(同法第2条第6項)の要件や「不正競争」(同法第2条第1項)の要件を充たさなければなりません。また、これらの要件を充たすには、当該情報が客観的に秘密として管理されている必要があるため、同法により保護されることは容易ではありません。
そこで、(元)従業員による情報漏洩を防止するため、従業員の入社時や退職時に機密保持に関する誓約書、合意書などを締結し、秘密情報の対象となる情報を明確にしておくとともに、差止請求ないし除去請求を可能とする条項を入れておくことをお勧めします。
・損害賠償請求
不正競争防止法上の営業秘密に該当すれば、同法に基づく損害賠償請求が可能です(第4条)。また、元従業員との間で、機密保持に関する合意書や誓約書を交わしていれば、機密保持契約に違反したとして、債務不履行に基づく損害賠償請求(民法第415条)を行うことができます。
冒頭の事例において、元従業員が会社の技術情報を使用し、これによりロボットを開発・販売等した場合、会社としては、得られるべき利益が得られなくなったとして、損害賠償請求をすることが考えられます。
2.刑事上の措置
本件における技術情報が不正競争防止法上の営業秘密に当たる場合、元従業員の行為は営業秘密侵奪罪(同法第21条)に該当する可能性があります。この場合、10年以下の懲役もしくは2000万円以下の罰金、またはこれらが併科される可能性があります。
営業秘密侵奪罪に該当する可能性がある場合、速やかに刑事告訴の検討を行うことが重要です。
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