事業の停止、許可の取消し
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事業の停止、許可の取消し
(1) 趣旨
産業廃棄物処理法は、産業廃棄物の適正な処理を確保するために、事業の用に供する施設や申請者の能力が事業を的確かつ継続的に行えること等の一定の基準を定めて廃棄物処理業に対する許可を与えています。
したがって、許可を受けた業者が廃棄物処理法で定めた基準に適合しなくなった場合には、都道府県知事等に許可の取消し又は事業の停止を命ずる権限を与えて、廃棄物処理の適正を担保しています。
廃棄物処理業者は、許可取消や事業の停止の処分を受けることのないように、廃棄物処理法の定める基準に違反しないよう細心の注意が必要です。特に許可取消については、許可を取り消す場合として定める要件に許可業者が該当した場合には、都道府県知事等は、その許可を必要的に取り消さなければならないとしており、重大な影響がありますから、十分な理解と対応が求められます。
(2) 必要的許可取消(必ず許可が取り消される場合)
廃棄物処理法14条の3の2第1項、14条の6は、以下の場合には、許可を取り消さなければならないと規定しています。
① 欠格要件に該当するに至った場合。
② 違反行為をしたとき、又は他人に対して違反行為をすることを要求し、依頼し、若しくは唆(そそのか)し、若しくは他人が違反行為をすることを助けたときに該当し、情状が特に重い場合。
③ 事業の停止命令に違反した場合。
④ 不正の手段により産業廃棄物収集運搬業、処分業の許可(更新許可及び変更許可を含む)を受けた場合。
※許可業者が後述する欠格要件に該当すると、許可が必要的に取り消されることになりますので、経営において最大限の注意が必要です。
(3) 任意的許可取消(都道府県知事等の裁量により許可が取り消される場合)
廃棄物処理法14条の3の2第2項、14条の6は、以下の場合には、都道府県知事の裁量により許可が取り消されると規定しています。
① その者の事業の用に供する施設又はその者の能力が、その事業を的確かつ継続して行うに足りるものとして定められた基準に適合しなくなった場合。
② 許可に付した生活環境保全上必要な条件に違反した場合。
(4) 事業の全部又は一部停止
廃棄物処理法14条の3、14条の6は、以下の場合には、都道府県知事等は事業の全部又は一部の停止を命ずることができると規定しています。
① 違反行為をしたとき、又は他人に対して違反行為をすることを要求し、依頼し、若しくは唆し、若しくは他人が違反行為をすることを助けた場合。
② 許可に付した生活環境保全上必要な条件に違反した場合。
※任意的許可取消と事業停止は、情状が特に特に重い場合に任意的許可取消の対象となります。具体的には、違反行為の態様や回数、違反行為による影響、行為者の是正可能性等の諸事情から判断されているようです。自治体によっても基準が異なることがありますので注意が必要です。